高価な超望遠レンズを手に入れたものの、レンズ単体をクルマの助手席に置いて移動する光景をよく見かけます。安全運転に心がけていても、急ブレーキを踏む状況がいつ訪れるかわかりません。
万が一、超望遠レンズを落としてしまうと、場合によって修理費10万円以上かかることがありますし、前玉レンズに傷がついてしまったら修理費用の高騰は避けられません。約半年分の食事と考えると、とんでもなく高額であり無駄な出費になります。
というわけで、600mm F4クラスの超望遠レンズを収納できるカメラバック(カメラリュック)の購入を検討した時、4つの製品が候補に上がりましたので紹介します。
実際に自腹購入した商品レビューも執筆したので「購入するきっかけ」になれば嬉しく思います。
600mmレンズ+カメラ収納用バッグ(リュック)を選ぶ
収納するレンズはソニーEマウントレンズSEL600F40GM(FE 600mm F4 GM OSS)
SEL600F40GMの全長 ※レンズキャップ含む | 全長:約460mm フード径:約178mm |
SEL600F40GM+カメラの全長 | 全長:約504mm |
SEL600F40GM+20TC+カメラの全長 | 全長:約531mm |
※レンズスペックに記載される全長は、レンズ先端からマウント面までの距離です。収納をを考慮して、レンズキャップまでの長さを計測しました。
単焦点超望遠レンズ サイズ一覧
◆一眼レフマウント → 各社600mm単焦点クラスのレンズをまとめました(下表)
EF500mm F4L IS II USM | 長さ:383mm 最大径:146mm(フード径は不明) |
EF600mm F4L IS III USM | 長さ:448mm 最大径:168mm(フード径は不明) |
EF800mm F5.6L IS USM | 長さ:461mm 最大径:163mm(フード径は不明) |
AF-S NIKKOR 500mm f/4E FL ED VR | 長さ:387mm 最大径:140mm(フード径は不明) |
AF-S NIKKOR 600mm f/4E FL ED VR | 長さ:432mm 最大径:166mm(フード径は不明) |
AF-S NIKKOR 800mm f/5.6E FL ED VR | 長さ:461mm 最大径:160mm(フード径は不明) |
◆ミラーレスマウント → 各社600mm単焦点クラスのレンズをまとめました(下表)
RF600mm F4 L IS USM | 長さ:472mm 最大径:168mm(フード径は不明) |
RF800mm F5.6 L IS USM | 長さ:432mm 最大径:163mm(フード径は不明) |
RF1200mm F8 L IS USM | 長さ:537mm 最大径:168mm(フード径は不明) |
NIKKOR Z 600mm f/4 TC VR S | 長さ:437mm 最大径:165mm(フード径は不明) |
FE 600mm F4 GM OSS SEL600F40GM | 長さ:449mm 最大径:163.6mm(フード径は不明) |
※長さはマウント面までの長さ。実際はレンズキャップ分長くなります。
※フード外径は公開されていませんでした。
商品チョイス
上記データをもとに、各カメラバックを扱うメーカーのWEBサイトを検索。レンズにカメラを装着した状態で収納できそうな製品を4つチョイスしましたのでご紹介します。
超望遠レンズバッグの「超リアルな選び方」
プロとアマチュアは環境が異なるため「プロ用が最適解」とは限らない!
超望遠レンズバッグの選び方は、プロカメラマンとスポーツカメラマンで大きく異なります。なぜなら、プロのスポーツカメラマンやレースカメラマンは、プレスルームが用意されているためカメラバックを安全に保管できます、
また、メディア専用駐車場が利用できるため、自動車による運搬ができ、持ち運ぶ距離や時間が少なくて済みます。ノートパソコン必須な点もプロ特有の装備といえます。
プロカメラマン → 「キャリー付きカメラバック+レンズバック」
アマチュアは公共交通機関の移動や保管場所がない点も考慮したい
一方、アマチュアカメラマンは、公共交通機関を利用した移動や撮影場所にバッグの保管場所がないため、超望遠レンズとカメラを一体収納できるリュックタイプが人気です。ノートパソコンを持ち運ぶ必要がない点もプロと異なる点です。
アマチュアカメラマン → 「レンズバック」
絶対に避けたいバック選び
カメラバックの中には「ロクヨンが収納できる巨大カメラバック」が存在します。ロクヨンのほか、複数のカメラやレンズが収納できるので、効率的で便利だと思われがちです。
ところが、現実は重すぎて持ち運べません。そのため、すぐに手放す未来が待っているので、スポーツで体を鍛えた人以外は容易に手を出さない方が無難なのです。
アマチュアにオススメのカメラバッグはこれ!
アマチュアの方が「プロカメラマンと同じ信頼性の高い道具を購入したい」という気持ちは十分理解できますが、ロクヨンレンズは重量がかさみますので「キャリー付きカメラバック+レンズバック」は避け、「レンズリュック」による運用をおすすめします。
レンズリュックは、撮影中は中身が空になるので体の負担も低減できますし、つねに背負うことで保管場所に困らないからです。
おすすめレンズリュック4製品の「本体サイズ」を比較
◆ロクヨンにカメラを装着した状態で収納できそうなおすすめレンズリュック4選
- Lowpro レンズトレッカー 600 AW III
- thinkTANKphoto グラスリモ
- VANGUARD ALTA SKY 66
- Kenko sosta Sanctuary III RK650
◆4製品のサイズを独自に図形化し、比較できるようにしました(下図)
- コンパクトさを求めるなら → Kenko sosta Sanctuary III RK650 生産完了品
- 平均点を求めるなら → VANGUARD ALTA SKY 66
- +αの余裕を求めるなら → Lowpro レンズトレッカー 600 AW III
- レンズ単体を収納するなら → thinkTANKphoto グラスリモ
Lowpro レンズトレッカー 600 AW III
◆商品の特徴は ズバリここ!
- 超望遠レンズ(ロクヨン)にカメラを装着した状態で収納できるサイズ
- 比較的入手しやすくてリーズナブル
- 撮影現場でもっとも見かける人気商品
Lowpro レンズトレッカー 600 AW IIIの価格
価格と性能のバランスで選ぶならコレ!
Lowproレンズトレッカー 600 AW IIIは、ハチゴローのレンズ単体またはロクヨンに一眼レフを装着した状態で収納できる製品です。このモデルは3世代の現行商品になります。
特徴は、カメラバッグの老舗「Lowpro」のブランド力と、販売価格がこなれているところ。超望遠レンズ用のカメラバック(リュック)は、販売台数が見込めない故か、販売価格が強気(高額)です。
カメラバックに大金を注ぎ込みたくないため、この製品を購入しました。結論を先に申し上げると買って「大満足」です。
Lowpro レンズトレッカー 600 AW IIIのレンズ固定方法
2分割のスペーサーでレンズの根元をサポートする仕組み。高さ調整可能です。
Lowpro レンズトレッカー 600 AW IIIのサイズ
Lowproレンズトレッカー 600 AW IIIのサイズは下記の通り。
高さ | 幅 | 奥行 | |
外寸 | 66.6cm | 30.2cm | 41.3cm |
内寸 | 61.0cm | 20.0cm | 22.0cm |
重量 3.3kg | 備考 レインカバー付 |
Lowpro レンズトレッカー 600 AW IIIの特徴
800mmのレンズ単体または600mmまでのレンズをカメラに装着した状態で収納することを想定したモデルです。そのため、収納スペースは最小限度に抑えられていますが、付属の三脚ホルダーを用いることでサイドに三脚を固定できます。必要十分な収納力を備えています。
本体の吸収材は必要かつ十分な厚みがあり安心感があります。全方位にクッション材が入っているので、レンズを衝撃から守ってくれるはずです。ただし、収納ポケット部は、生地のみでクッション材が入っていません。大きな衝撃から機材を守れないと思われますので、予備バッテリーや財布などの収納に控えて対応します。
背中やショルダーの素材は、メッシュ構造になっているので蒸れにくく、クッションに十分な厚みがあるので背負い心地も良好です。
公式ホームページ → Lowproレンズトレッカー 600 AW III
thinkTANKphoto グラスリモ
◆商品の特徴は ズバリここ!
- 超望遠レンズ単体が入るコンパクトサイズ
- プロ御用達の人気ブランド
thinkTANKphoto グラスリモの価格
レンズ単体の収納するならコレ!
プロカメラマンから絶大な信頼を集めるthinkTANKphotoブランドの中から選ぶなら「グラスリモ」。スズカサーキットやFSWのメディアセンターに行くとthinkTANKphotoで溢れています!
この商品は、600mmF4.0までのレンズ単体を収納するために開発された製品。500mmF4だと、一眼レフ(グリップ付き)を装着した状態で収納できるようです。
サイドに三脚や一脚を装着可能。ベルトが付いているので、同社ポーチ類を装着し、収納力を高めることも可能です。
thinkTANKphoto グラスリモのレンズ固定方法
レンズ固定方法は、ベルトで固定する仕組み。高さや太さに柔軟に対応できる最良の方法です。高さ調整可能です。
thinkTANKphoto グラスリモのサイズ
thinkTANKphoto グラス リモのサイズは下記の通り。
高さ | 幅 | 奥行 | |
外寸 | 53.3cm | 22.9cm | 23.4cm |
内寸 | 49.4cm | 22.1cm | 22.1cm |
重量 1,800kg | 備考 レインカバー |
ワンチャンカメラ付きで収納できるかも?
実は、SEL600F40GMにα9を組み合せた状態の全長は約504mm。グラスリモの内寸高さは49.5cmなので9mm全長が足りませんが、布製なので若干の変形が見込めます。ぎゅうぎゅう詰めになりますが、ワンチャン収納できるのでないかと思っています。
公式ホームページ → thinkTANKphoto グラス リモ
VANGUARD ALTA SKY 66
三脚の固定方法が中央なのでバランスが良い。その反面、三脚がポケット収納を圧迫するので破損の恐れがる点に注意。
VANGUARD ALTA SKY 66のレンズ固定方法
◆商品の特徴は ズバリここ!
- 超望遠レンズにカメラを装着した状態で入るサイズ
- デザインがかっこいい
VANGUARD ALTA SKY 66の価格
VANGUARD ALTA SKY 66のサイズ
VANGUARD ALTA SKY 66のサイズは下記の通り。高さ調整可能です。
高さ | 幅 | 奥行 | |
外寸 | 62.0cm | 29.0cm | 29.0cm |
内寸 | 61.0cm | 26.0cm | 24.0cm |
重量 2.530kg | 備考 レインカバー |
Kenko sosta(アオスタ)Sanctuary III RK650
◆商品の特徴は ズバリここ!
- 超望遠レンズにカメラを装着した状態で入るサイズ
- カメラ量販店で在庫しているケースが多い
Kenko sosta Sanctuary III RK650の価格
Kenko sosta Sanctuary III RK650のレンズ固定方法
スペーサーでレンズの根元をサポートする仕組み。
Kenko sosta Sanctuary III RK650のサイズ
Kenko Sanctuary III RK650のサイズは下記の通り。
高さ | 幅 | 奥行 | |
外寸 | 59.0cm | 24.0cm | 27.0cm |
内寸 | 57.0cm | 22.0cm | 9.0cm |
重量 1,980kg(ブラック)、2,180kg(グリーン) | 備考 レインカバー アクセサリーポーチ |
Lowproレンズトレッカー 600 AWIIIを自腹レビュー
試行錯誤の末、ブログ管理人のちゃんまさは、Lowproレンズトレッカー 600 AWIIIをアマゾンで購入しました。
外観デザインとレンズと大きさ比較
質実剛健。実にシンプルなデザインです。外観の収納は、正面のポケット(チャック付)と左右の収縮式ポケットになります。左右にはベルトが装着されており、付属の三脚ホルダーのほか、別途小型ポーチを用意すれば装着できます。
▲背中のパッド
メッシュ構造です。中央部はクッション材が省かれており、通気性を高める配慮がなされています。
▲ショルダーパッド
ショルダー部分もメッシュ構造です。クッション材に十分な厚みがあるため、痛くなることはなさそうです。
▲収納ポケット
正面下部にある外部収納ポケット。クッション材がないため、重要な部品は入れられません。予備パッテリーや財布などの収納に利用しています。
▲三脚ホルダー
サイドのベルト部分に固定して使用します。着脱可能。
▲レンズ固定
唯一気になる部分がレンズの固定方法。2分割のスペーサーでレンズをサンドイッチする感じで固定するのですが、SEL600F40GMの鏡筒サイズと穴の大きさが一致せず窮屈になります。実用的には問題ありませんが。
▲レンズ保護
カメラバッグの底の部分は、クッション材が2重になっています。円形を採用するメーカーが多いですが、この製品は四角。フードを固定するネジを逃がすことができるので好都合です。
▲内部収納
内部に収納スペースがありますが、フィルター1枚とSDカード2枚収納できるだけの簡素な作りです。
収納感と空きスペース
SEL600F40GM+α9の収納感はこんな感じです。テレコンを装着した状態でも余裕で収納できます。
仕切りを使うと、カメラ&レンズの上部に10cmぐらいのスペースが生まれます。撮影旅行(1泊)の時に下着や肌着を入れることができます。仕切りは普段は使用しません。
サイドポーチにテレコン収納
SEL600F40GMにα9を装着した状態で収納すると、高さが10cmほど余ります。仕切りを使えば、テレコンなどを収納することができますが、開封時に転がり落ちそうな不安があります。
という理由で、テレコンは、ベルト付きの小型収納ケースを購入し、1.4倍と2.0倍の2本を収納しています。バッグ脇に、付属のベルトを用いて固定します。
購入後3年経過時点のブログ管理人ちゃんまさ体験談
ブログ管理人ちゃんまさが3年半使った体験談を2024年10月14日に記録します。
Lowproレンズトレッカー 600 AWIII導入時は、SEL600F40GMにα9を装着した状態で収納していましたが、2024年10月現在は、SEL600F40GMにα7R5を装着した様態で収納しています。
頻繁に使用していますが、縫製のほつれやファスナーの破損はなく、快調に使えています。十分な耐久性を備えた製品といえます。
サイドの収納は、ロープロ・ユーティリティーバッグ 100AWに交換しました。
このケースは、テレコン2個・エアブロワー・予備バッテリー2個を余裕で収納できます。同一メーカーの製品ということで、抜群のフィット感でお気に入りです。
◆少しだけ気になる点も記録しておきます
その1:カメラバック内側のレンズサポート部品が、少し変色してきました。
その2:ベルト調整機能の余ったベルト固定するゴムが劣化して機能しなくなりました。現在は、ダイソーの事務用クリップで固定しています。
気になる部分は、この2点ぐらいです。
まとめ
超望遠レンズのリュックは、高価な機材を安全に持ち運べます。購入で迷っているなら、早く購入することをおすすめします。
コメント
私はCanonユーザーです。今まで使用してきたケンコーのサンクチュアリーが壊れ始めたためフード装着状態のEF300mmf2.8L USM Ⅱ+エクステンダー2XⅢ、EOS R6markⅡ+バッテリーグリップを素早く出し入れできるタフそうなカメラバッグを探し続けてきました。私もLowproレンズトレッカー 600 AWIIIが最有力候補として注目していますが貴兄の記事を見てこれに決めようと考えています。三脚や一脚を中央に取り付けるスタイルだとフラップの開閉に手間取ってしまいそうですがその点このサイド取付け式ならノープロブレム。欲を言えば標準ズーム一本くらいは入れられるポケットなどが欲しいところではありますが、それは何か適当な別の製品を組み合わせることでなんとかなると思います。
大変参考になる記事をありがとうございました。
コメントありがとうございます。
Lowproレンズトレッカー 600 AWIIIは、内寸高さが実測60cmです。キヤノンはよくわかりませんが300mm+2テレだと大きすぎるかも!?
収納については、三脚固定の反対側に市販の小型ケースを増設できるので問題ないと思いますよ。