今から20年以上も前の話になりますが、キヤノンはMacと相性の良いメーカーでした。ところが、企業方針により近年Macは冷遇され続けてきました。シェアが少ないのだから仕方ありません。
しかし、キヤノンのインクジェツトプリンターは数年前からMacOSX用プリンタドライバーの提供を中止しました。
残念ながらMac派フォトグラファーがキヤノンのインクジェツトプリンターを新規購入すると「痛い目をみる」という注意喚起記事です。
MacOS付属の汎用ドライバー「Air Print」で出力
キヤノン製インクジェツトプリンターは、2018年ごろのモデルチェンジでキヤノン独自のMac用プリンタドライバーの提供を中止しました。MacOSXに標準装備される汎用プリンタドライバ「Air Print」を経由して出力することになります。
アップルの方針があるのかもしれませんが、ライバルのエプソンは当然のように独自プリンタドライバーを用意していますし、Macに優しいOKIプリンタもしかりです。
プリンタドライバが全く使えないわけではないのでプリント自体は可能です。「だったらいいじゃん」と簡単に納得できない事情があります。
用紙設定はメディアのタイプに集約され「封筒・普通紙・写真」があるだけ。写真用紙には、光沢用紙やツヤ消し用紙がありますが「Air Print」には定義がありません。
また、品質は「下書き・標準・最高」の3種類だけが用意されているだけです。
プリンタドライバーが提供されないためカラーシンクに必要なプロファイルも提供されません。そのため、カラーシンクを活用した「正確な色」で印刷できなくなりました。キヤノンのサポートで得られた情報によると「sRGB」で出力されるとのこと。
Mac系フォトグラファーが求める理想的なプリンタとは、鮮やかな発色や使いやすさではなく、正確な色を忠実に再現できることだと思います。カメラメーカーが作るプリンタだったからこそ価値がありましたが、今後キヤノンのインクジットプリンタは「事務機器メーカーのプリンタ」と理解した方が良さそう、と本気に思ってしまいました。
Photoshop経由による出力は?
Photoshop経由でプリントもテストしました。
筆者のプリンタはMG7130なので、純正ドライバが用意されています。カラープロファイルもインストールされていますし、i1Studioでエプソン用紙用のプロファイルで運用していますので問題ありません。
しかし「Air Print」経由で出力するとダメダメです。
そもそも、今まではプリント用データを補正する環境(色温度)は5000Kでしたが、AirPrintは6500Kを想定している可能性が高いです。プリントの定義が大幅に変更されたのはないでしょうか?
モニタの色域をsRGB、色温度を6500Kに設定。その環境でi1Studioで作成したプロファイルをPhotoshop側で適応させて出力すると「そこそこ」の精度で出力できました。
「sRGB、色温度を6500K」という定義は賛成できます。現在の5000Kという仕様は商業印刷の昔ながらの慣習ですし、一般の人が写真を鑑賞する光源と乖離していますからね。色評価用蛍光灯もパナソニックが生産を続けてしますがいつまで入手できるか不安です。
問題点は、AirPrint側の品質を「最高」に設定しても、ドラフト印刷のような荒さで出力される点。高精細で出力できれば「sRGB、色温度6500K」の運用で解決できそうな雰囲気できたがお手上げです。
あらゆる方法を試してみましたが、解決策は見つかりませんでした。辛いですね〜。
チーン。終了。
まとめ
Mac派フォトグラファーは、キヤノン製プリンタを買ってはいけません。上位機種を購入すれは対応しているのでは?という期待は妄想です。
本当にダメです。
とても残念ですがインクジェットプリンタを新規購入するなら「エプソン一択」というのがファイナルアンサーです。
最後までお読みいただきありがとうございます
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