Text/Photo:ちゃんまさ
カメラを趣味にする人にとって「クーラーボックス」は、興味の湧かないアイテムかもしれませんよね。しかし、クルマにクーラーボックスを1つ積んでおくと、前日に買った飲み物を冷えたまま持ち運ぶことができ、撮影旅行が格段に楽しく快適なります。たくさんの製品が販売されているので「どの商品を選べば良いのか?」と悩みますが、ここではカメラマンにベストマッチする「保冷性能とコスパ」に優れたマニア好みの逸品をご紹介します。
秀和ウレタンクーラー LUCK35UL ▶︎ アマゾンで購入する
クーラーボックスの魅力
クーラーボックスの魅力は、撮影旅行中にキンキンに冷えた飲み物が気軽に飲めること。その都度、自動販売機やコンビニで購入すると「定価購入」することになるので遠征費用が予想以上に膨らみます。撮影前日に価格が安価なスーパーやドラッグストアで購入すれば、500mlのコーラは90円前後、水は40円前後で購入できるので大幅なコスト削減を図れます。
また、クーラーボックスがあると食べ物の鮮度を保ったまま運搬できます。遠征撮影は僻地の場合が多く、コンビニ弁当に頼っていると量が少ない上に割高です。前日にスーパーに立ち寄って購入すれば、多くの弁当の中から好みの品を選択できますし、保冷技術をマスターすればスーパーのお寿司を持参することも可能です。
旅先でお土産を購入する時も、いままで敬遠しがちだった生物や冷凍物も、冷えたクーラーボックスがあれば鮮度を保って持ち帰ることができます。
クーラーボックスの性能
クーラーボックスは、一般的に「保冷性の高い製品」が性能が高いと言われています。保冷性が優れる製品は、少ない冷媒(氷や保冷剤など)で長時間低温度を保つことができるからです。
クーラーボックスの保冷性は、断熱材の種類によって、ある程度推測できます。
高性能モデル | ハイコスパモデル | 廉価モデル |
6面真空断熱パネル仕様 | 6面ウレタンパネル仕様 | 発泡スチロール仕様 |
最も優れた断熱材は、真空断熱パネルを用いた商品。魔法瓶の技術を応用したクーラーボックスだと思って間違いありません。最高峰は、クーラーボックスの6面すべてに真空断熱パネルを搭載する製品になりますが、販売価格は5万円前後と高価。釣りやキャンプを本気で楽しむ人でないと気軽に買えません。
近所のホームセンターで販売されるクーラーボックスは、製品コストを抑えるため断熱材に発泡スチロールが用いられたモノがほとんど。保冷性が劣るため、真夏に2日間冷やすことは困難です。
「ちょっと高性能なクーラーボックス」を所有するなら、ウレタンタイプが狙い目。
多くの製品の中から「ウレタンパネル仕様」を選り抜けば、コストパフォーマンスに優れ、真夏でも保冷効果を2日間維持することができます。
真空断熱パネル仕様
保冷効果が最も高い材質が真空断熱パネル内蔵タイプです。クーラーボックスの外壁(6面)全てに内蔵した最高級品から、1面や3面に限定したローコストタイプがあります。釣り具メーカーの製品が主流になります。
▲6面極厚真空パネル+発泡ウレタンを採用したシマノ「ICEBOX PRO」。
主要メーカー |
ダイワ、シマノ など |
ウレタン仕様
保冷効果とコストを両立するのがウレタン注入タイプです。保冷効果は真空断熱パネルに劣るものの、高いレベルの保冷性とハイコストパフォーマンスを両立。カメラマン向けのクーラーボックスの大本命です。
▲6面ウレタンを採用したシマノ「ICEBOX ST」。
主要メーカー |
コールマン・イグルー、イエティ、ダイワ、シマノ など |
発泡スチロール仕様
ホームセンターなどで大量に販売される製品の多くは「発泡スチロール」内蔵タイプがほとんど。安価な反面、保冷効果は劣ります。安価な製品は氷が1日持たないことがあります。
主要メーカー |
JEJアステージ、ホームセンターオリジナル など |
ネット上には、発砲スチロール仕様のクーラーボックスを分解して「魔改造」するネタが公開されていますが、私も実際に試しましたが費用対効果は「ビミョー」な感じです。ウレタン仕様に勝ることはないと思います。
容量選び
1泊2日の撮影旅行を想定した場合、水やジュース10本、弁当2〜3食分を前日に一括購入することを想定すると、容量は30L前後が理想的です。
30L以上の容量があれば、お土産を冷蔵した状態で持ち帰ることも可能です。
容量選びのコツは、ペットボトルが縦収納や横収納できることを確認します。小容量の製品は設置場所に困りませんが、内部にデットスペースが発生しやすく、高効率で収納できない恐れがあります。
売ってる場所
クーラーボックスは季節商品のため、年中在庫いているお店とシーズンのみ取り扱うお店があります。
- アマゾンなどの通販系 ←安定の品揃え
- アウトドア/スポーツ/キャンプ用品店 ←キャンプブランド中心 ※コールマン・イグルーなど
- 釣り具店 ←釣り具ブランド中心 ※タイワ・シマノなど
- ホームセンター ←低価格帯中心の品揃え オリジナルブランド・廉価版コールマンなど
夏季はホームセンターでも購入できますが、お盆を過ぎた頃になると店頭販売を控えるお店が大半です。シーズンオフに購入するときは、ネット通販がオススメです。
保冷剤選び
クーラーボックスの保冷剤は、自家製氷から再利用可能な保冷剤まであります。
- ロックアイス ←溶けた水を飲み物として利用したい場合
- 板氷 ←長時間冷やしたい場合の絶対的定番
- 保冷剤 ←温度を極限まで低くしたい場合 ※保温時間が短くなる傾向
- 飲み物自体を凍らす ←帰りの荷物を減らしたい場合
冷媒により冷却できる時間の長さや特性が変わります。長時間冷却したい時に最適な冷媒は板氷です。同じ氷でも粉砕済みのロックアイスや、自家製氷は冷却時間が短くなる傾向にあります。
保冷剤は、氷点下まで冷却したい場合や再利用したい時に有効ですが、板氷と比べて冷却できる時間は短くなります。ただし、最近では−16度対応の保冷剤も販売されていますが、ご家庭の冷凍庫で完全冷凍するのに2〜3日要します。また、完全冷凍した状態でないと性能を発揮できないため、扱いが難しい保冷剤になります。
飲み物を凍らすことも有効ですが、凍った状態では飲むことができません。溶け具合を学んでからチャンレンジしたい上級者向けテクニックです。
板氷がオススメ
引用:トップバリュー
保冷剤選びは難しいことを考えず、まずはコンビニやスーパーで入手できる「板氷(1.7kg)」から試すことを推奨します。長時間冷蔵することが目的なら板氷1択です!
※クーラーボックスメーカー秀和さんも「板氷」をイチオシです。
保冷剤の量
クーラーボックスの性能を引き出したい場合、容量に対して20〜25%の氷を使用するのがベストらしいです。30Lの場合、6kgの氷が必要な計算になります・・・。
実際のところ、ウレタンタイプの製品なら板氷1.7kg=1個で1日保冷できると思います。
秀和 ウレタンクーラー LUCK35UL
前置きが長くなりましたが、遠征撮影にオススメのクーラーボックスは秀和ウレタンクーラーボックス LUCK35ULです。この製品は、今は亡き釣り具メーカー「オリムピック」の製品として長年販売された歴史と実績のある商品です。
釣り具メーカーのオリムピックは、中判カメラメーカーのマミヤに買収された経緯があり、ブランド末期は「マミヤOP」として販売されていました。当時の金型を使っているのでデザイン的には「昭和テイスト」ですが、クーラーボックスの保冷性は未だ第一線級の実力を備えています。
注目すべきは販売価格。6面ウレタン注入タイプとしては破格の値段で購入できます。
現行の釣り具メーカーの製品と比較すると、2〜3万円で販売されている製品と同クラスといわれています。
ウレタン材も、安価なウレタンではなく、軽量かつ優れた断熱性を備えたオートフロスウレタンを採用。樹脂同士の接着にレーザー溶着を用い、熱損失を抑えています。
価格 ¥9,680円(カーマ店頭価格・2023年6月時点)
本体サイズ 幅482mm×奥行290mm×高さ378mm
断熱材 最高級ウレタン「オートフロスウレタン」採用
容量 35L
重量 4.15kg
売っている場所
秀和ウレタンクーラーボックス LUCK35ULは、販売ルートが限定されているので、どこでも購入できるわけではありません。製品を扱っているのは「DCM傘下のホームセンター系列」になります。カインズでは「秀和ウレタンクーラーボックス ネオセラー35」の商品名で販売されています。仕様やサイズは同一で、カラーとロゴ(商品名)が異なります。
注意点は、DCM系列で販売している秀和クーラーボックスは「LUCK35UL」「LUCK25」「LUCK12」の3種類の扱いがあります。「LUCK25(写真中央)」と「LUCK12(写真左)」は、断熱材に発泡スチロールが使われています。発泡スチロール仕様としては優れた性能を発揮しますが、今回の趣旨である「ワンランク上のクーラーボックス狙い」からは逸脱するのでパスします。
ウレタンタイプは、ケース全面ロゴに「UL」が印刷された「LUCK35UL(写真右)」のみなのでご注意ください。
販売店 | 商品名 |
DCMグループ | 秀和ウレタンクーラーボックス LUCK35UL カラー:グレー |
カインズ | 秀和ウレタンクーラーボックス ネオセラー35 カラー:濃紺 |
シーズン商品なので、春から夏にかけて販売されます。盆明けまで商品が残っていれば売り切り価格で購入できるかも知れません。
店舗販売
DCMグループ一覧
カーマホームセンター DAIKI HOMAC Sanwa くろがねや ケーヨーデイツー
秀和ウレタンクーラーボックスは、上記ホームセンターで販売されている可能性が高いです。私はカーマホームセンターの店頭で購入しました。
通販
ネット通販はDCMオンラインストアーにて販売中です。また、アマゾン内のDCMオンラインストアーでも購入できます。
秀和ウレタンクーラー LUCK35UL ▶︎ アマゾンで購入する
兄弟モデル
引用:カインズ
秀和ウレタンクーラーボックス LUCK35ULの兄弟モデルとして、カインズから「秀和ウレタンクーラーボックス ネオセラー35L」が販売中です。外観はブルーの1色のみです。
35Lの容量が大きすぎる場合の選択肢
引用:アマゾン
秀和から別シリーズとしてフィッシング用ウレタンクーラーが販売中です。サイズは10.4L、25L、37Lの3種類あり、アマゾン経由で購入できます。10.4Lと25L37Lは天板に取っ手がつくため片手で持ち運べます。37Lモデルは「LUCK35UL」より大きくなります。
秀和フィッシングウレタンクーラー ULCシリーズ |
秀和ウレタンクーラー UL1000LH 10.4L |
秀和ウレタンクーラー UL2500LH 25L |
秀和ウレタンクーラー UL900VX 37L |
デメリット
秀和ウレタンクーラーボックス LUCK35ULは、基本設計の古い設定なので、最新型と比べると劣る点があります。購入する際には、自分の使い方にあっているか確認しておく必要があります。
片手で持てない
運搬時に利用する取手は、ケースの左右に配置されています。両手で運搬するスタイルが基本になるため、片手で気軽に持ち運ぶことはできません。付属のベルトを活用すれば肩がけスタイルで運搬できます。
デザインが昭和
デザインが「ザ・昭和なクーラーボックス」を彷彿するレトルスタイルです。
接着跡が目立つ
ケースや上蓋の接着跡が目立つことがあります。理由は、レーザー溶着により接合面を隙間なく完全密閉しているから。熱損失を極限まで抑えた製法の証です。
外観はこんな感じ
▲外観のカラーはグレー調の1色のみ
▲上蓋の固定はステンレス製。古臭い感じだけど耐久性は高そう。
▲手さげは両サイド。両手で運ぶ必要があり、不満を感じる部分。
▲水抜き栓。冷気で上蓋が開かない時、ここを緩めるとプシュ〜と鳴って開閉できます。
保冷時間
購入後、真夏の撮影で2回ほど使用しました。
基本的にクルマに積んだままです。昼間の停車中は、アイドリングによる燃料消費を抑えるためエンジンOFF。最高気温35度、車内は窓やゲート全開の状態で32〜37度の猛暑でした。
内容物
500mLペットボトル 8本
缶コーヒー 2本
弁当 2食
おにぎり 2個
氷
板氷1.7kg 1個
時間
夕方19時に板氷1.7kgを購入。翌々日の深夜1時に200g程度の氷が残りました。
おおよそ30時間持ちこたえてくれた計算です。
常温から冷却すると氷の持ちが悪くなるので、冷えた飲み物を購入することが重要です。弁当も冷えた状態がベストですが、最低でも常温になっていること。出来立ての弁当を入れるのは厳禁です!
参考までに、冷蔵庫で凍らすタイプの保冷剤は、12時間持ってくれません。長時間冷却するなら板氷1.7kgで決まりです!
秀和ウレタンクーラー LUCK35UL ▶︎ アマゾンで購入する
コメント