大気の揺らぎ
岐阜城と月を撮影する上で、避けては通れなのが「大気のゆらぎ」です。
よく、遠方(5km以上離れた場所)から岐阜城と月を撮影すると「解像しない」という話をよく耳にします。状況を見守っていると、悪者として「望遠レンズの性能が悪い」ということで一件落着する傾向があります。
岐阜城と月を撮影して解像しない理由はレンズ性能が劣るからでしょうか?
600mmF4単焦点レンズと200-600mmクラスの望遠レンズの性能を比較すれば、解像力においては600mmF4単焦点レンズが勝ります。
では、大金をつぎ込んで「600mmF4単焦点レンズ」を購入すれば、絶対にシャープな写真が撮れるでしょうか? 答えはNoです。
解像しない理由は、レンズ性能より「大気のゆらぎ」による影響が大きいからです。
大気の揺らぎを動画撮影
大気の揺らぎを約8km離れた場所から動画撮影しました。まずは約10秒の動画を貼り付けましたのでご覧ください。
カメラ&レンズは、業務用ビデオ三脚に搭載しているので三脚ブレは皆無です。動画モードは1080/30Pに設定し「600mmレンズ+1.4倍レテコン+APS-C+4倍電子ズーム」を駆使して5040mm換算で撮影しています。
照明に照らされた岐阜城がメラメラ動いているのがおわかりいただけるでしょうか?
これが「大気のゆらぎ」の正体です。一眼レフだと気づけない自然現象です。
大気の揺らぎは、一般的に地面と大気の温度差が大きい時に発生すると言われます。夜間になれば温度差が少なくなるのでメラメラの量は少なくなるはずですが、気温が冷えこむ10月末の夜でもこの有様です。
シャッタースピードが重要
「大気のゆらぎ」は、画像を歪ませ解像度を低下させます。シャッタースピードの設定によっては被写体ブレが生じ、解像度は一段と低下します。
上級者の方は「低感度撮影により高感度ノイズを低減しよう」と考え、シャッタースピードを2秒とかに設定したと仮定しましょう。「大気のゆらぎ」が無ければ、三脚ブレさえ注意すれば素晴らしい写真が撮影できるはずです。
しかし、これだけ岐阜城がメラメラ動いているとシャッタースピード2秒では被写体を止めることはできず、被写体ブレが発生します。
シャッターを速く切れないジレンマ
対策法は「シャッタースピードを速く設定し、被写体ブレを抑え込めば大丈夫」と思いつきますよね。しかし、です。
岐阜城と月は夜間撮影が基本です。シャッタースピードを速くする方法は、ISO感度を上げるしか方法がありません。F1.4の望遠レンズは存在しませんからね。
すると、ISO感度を上げると高感度ノイズが目立ってきます。シャッタースピードとISO感度のせめぎ合い。RAW現像ソフトのノイズ除去能力も写真の仕上がりを大きく左右します。
私の中では答えは見つかっていません。
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