はじめての防湿庫選び。購入するときのポイントは何でしょうか? ここでは「除湿庫の種類、除湿方法、サイズ、電気代、湯用メーカー、主要機能」など、防湿庫選びで重要な6項目について、後悔しない選択法をまとめてみました。自分にあった製品選びにご活用ください!
防湿庫の選び方「6項目」を解説
1、防湿庫の種類
ドライボックス+使い捨て乾燥剤
メリット ▶︎ 導入コストが安価、開閉が少ない長期保存向き、電気不要
デメリット ▶︎ 乾燥剤は使い捨て
密閉性を高めたプラスチック製ケースの中に、カメラレンズと使い捨て乾燥剤を一緒に収納するタイプの除湿庫です。除湿性能は乾燥剤のポテンシャルに比例し、湿度調整はできません。乾燥剤には寿命(ハクバ・キングドライは平均8ヶ月程度)があり、蓋を頻繁に開き閉めすると除湿性能が極端に短くなります。価格は安価。ケース本体は、湿度計が付属するナカバヤシ製。乾燥剤は容易に入手できるハクバのキングドライがオススメです。
電気除湿式(乾燥剤式またはペルチェ式)
メリット ▶︎ メンテナンスフリー、頻繁な出し入れする人に最適
デメリット ▶︎ 価格が高価、100V電源必要
冷蔵庫のような密閉性の高い金属製ケースに、電気式除湿機能を備えたタイプの本格除湿庫です。湿度調整機能や湿度を一定に保つ機能を備え、一度設定を行えばメンテナンスフリーで運用できます。サイズは小型のものから大型のものまでラインナップ。一般的に100V電源が必要です。価格はドライボックスに比べ高価な傾向。
2、除湿方法
乾燥剤方式
メリット:省消費電力、長寿命
デメリット:制御が大まか
乾燥剤方式による除湿は、防湿庫内に設置した乾燥剤を利用して水分を吸収する方式です。乾燥剤が水分を吸収すると除湿性能が劣化するため、乾燥剤を加熱することで余分な水分を防湿庫外に排出し、乾燥剤を乾燥(復活)します。乾燥剤に定められた寿命(東洋リビングHP引用:乾燥剤は半永久的、シャッターユニットの形状記憶合金は10万回以上)は半永久的で、加熱機能やケースのパッキンなどが壊れない限り使い続けることができます。乾燥〜除湿のサイクルは、数時間サイクルで動作するため消費電力が少ないメリットがあります。
ペルチェ方式
メリット:除湿性能が高く高精度
デメリット:消費電力が大きい、素子に寿命がある
ペルシェ素子を用いた除湿は、半導体特性を応用した除湿方式になります。ペルシェ素子は電気が流れると、片面が低温になり裏面が高温になる特性があります。この特性を活用し、素子を低温にすることで防湿庫内の水分を結露させ、裏面の高温を利用して乾燥することで除湿します。乾燥剤方式より迅速かつ高精度で除湿できますが、電気代が高くなる傾向にあります。身近な製品では、ワインセラーなどもペルチェ方式を活用した製品です。デメリットは、ペルシェ素子には寿命(東洋リビングHP引用:海外製ペルシェ式の寿命は3~5年)があること。半永久的に使える乾燥剤方式よりも製品寿命が短くなる傾向です。また、冬季は結露が凍結し、除湿性能が低下することもあります。
3、サイズ(容量)
収納庫の容量
最小サイズ:20リットル 収納台数2台〜4台!?
ハクバ E-ドライボックス
最大サイズ:237リットル 収納台数20台〜30台!?
東洋リビング Wideシリーズ
実用サイズ:60L~100L
防湿庫のサイズは「カメラ台数、レンズ本数、レンズの長さ」を目安に選定します。カメラを趣味として長期間楽しむ意気込みがあるのなら、最小サイズの目安として「50リットル以上」の製品をチョイスすると、機材が増えた時にも対応できます。
注意すべきは、超望遠レンズの有無。100-400mm程度の望遠レンズなら「50リットル」程度の容量でも収納できますが、150−600mmクラスになると横幅や奥行きの関係で収納できない可能性があります。その場合、ワイドタイプの製品を購入すると横置きで収納できる場合があります。仕様を確認するときは、外寸と内寸があるので、必ず「内寸」をチェックしましょう。
4、電気代
電気代の目安
乾燥剤方式:1年間100円程度 平均消費電力0.5W
※東洋リビング製80L(AD-80) ※庫内湿度30%RH保持の場合
ペルチェ方式:1年間1,250円程度 平均消費電力6.4W
※海外A社製50L ※庫内湿度30%RH保持の場合
データ引用:東洋リビングHPより
防湿庫維持にかかる電気代は、1ヶ月あたり微々たるものですが、年額に換算すると乾燥方式の違いによりコストの差が開いてきます。また、扉を頻繁に開閉すると電気代は高くなります。発光式のデジタル温度計が付いていると、消費電力が増加する可能性がああります。
5、主要メーカー
▼東洋リビング(TOYO LIVING) 日本メーカー
予算があるなら選びたい絶対に失敗しない王道メーカー
東洋リビングは、1974年設立の国内防湿庫メーカー。電子ドライユニットを開発し、防湿庫を普及したパイオニアです。除湿方式は乾燥剤式を採用。小型から大型までラインナップし、初心者から業務向けのニーズに対応します。製品保証は3年〜5年。
オートクリーンドライ
2021年9月現在 |
Mini Dry シリーズ |
容量:24L ※乾燥剤方式 光触媒、外部コンセント 5年保証(湿度計は3年) |
Black & White シリーズ |
容量:39L、53L、77L ※乾燥剤方式、引出棚、光触媒、LEDライト、外部コンセント 5年保証(湿度計、ライト、コンセントは3年) |
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Slim シリーズ |
容量:39L、53L ※乾燥剤方式、引出棚、光触媒、LEDライト、外部コンセント 5年保証(湿度計、ライト、コンセントは3年) |
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Standard シリーズ |
容量:77L、116L、137L、118L、162L ※乾燥剤方式、引出棚、光触媒、LEDライト、庫内コンセント 5年保証(湿度計、ライト、コンセントは3年) |
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Wide シリーズ |
容量:160L、237L ※乾燥剤方式、光触媒、LEDライト、庫内コンセント 5年保証(湿度計は3年) |
▼トーリハン(TOLIHAN) 日本メーカー
国内メーカーを重視するなら外せない安心感
トーリハンは、1983年設立の国内防湿庫メーカー。カメラの防湿庫以外に、楽器用防湿庫なども扱います。除湿方式は乾燥剤式を採用。小型から大型までラインナップし、初心者から業務向けのニーズに対応する。
ドライ・キャビ
2021年9月現在 |
PREMIUM シリーズ |
容量:56L、76L、107L、157L、152Lワイド、203Lワイド ※乾燥剤方式、光触媒、LEDライト、外部・内部コンセント |
ECシリーズ | 容量:47L、74L ※乾燥剤方式 |
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NTシリーズ | 容量:33L、46L、76L ※乾燥剤方式 奥行き29,8cmのスリムタイプ |
▼ハクバ(HAKUBA) 日本メーカー
コストパフォーマンス重視の賢い選択
ハクバは、1955年設立の国内写真用品の総合メーカー。カメラバッグ、フィルター、三脚などをメインに扱い、防湿庫も扱います。除湿方式は乾燥剤式とペルチェ式を採用。バリエーションは限定されますが、小型から大型までラインナップ。除湿性能に特化し、過剰装備を抑えた印象。製品保証は3年、アマゾン専売商品は5年。
E-ドライボックス
2021年9月現在 |
定番モデル | 容量:25L、40L、60L、100L、 ※乾燥剤方式 3年保証 |
Amazon専売モデル | 容量:85Lワイド、130L ※乾燥剤方式 5年保証 |
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容量:20L ※ペルチェ方式 3年保証 |
▼HOKUTO 中華メーカー
高性能を低コストで導入したい人向け
HOKUTOは、アマゾンで安価で購入できる防湿庫メーカー。除湿方式はペルチェ式を採用。豊富な商品ラインナップは、小型から大型、廉価版から高性能版まで扱う。
▼Re:CLEAN 中華メーカー
電子式除湿性能を低価格で
Re:CLEANは、アマゾンで安価で購入できる防湿庫メーカー。除湿方式はペルチェ式を採用。除湿性能に特化し、過剰装備を抑えた印象。小型から大型までラインアップする。
6、主要機能
▼湿度調整機能
除湿設定は、ダイヤルつまみを回して設定するアナログ式と、ボタン操作で数値設定するデジタル式があります。耐久性に優れるのはアナログ式。一度設定したら頻繁にいじるものでないので好みの問題ですね。
▼湿度計&温度計
湿度計&温度計は、アナログ式とデジタル式があります。アナログ式は、一般的に電源なしで駆動します。デジタル式は、本体から電源供給されるタイプと電池式があります。好みの問題だと思いますが、デジタル式は夜に眩しいという意見もあります。
▼可動式のスライド棚
棚の部分が固定式と可動式があります。可動式は手前にスライドすることでカメラ&レンズの出し入れがしやすくなるメリットがあります。擦れる音が不快に感じる人もいるそうです。
採用製品 |
東洋リビング ※Mini Dry以外の機種 |
▼棚のクッション材
棚の材質はプラスチックや金属などさまざまです。クッション材は、平らなスポンジやレンズの収まりを考慮した波型、またシート張り加工した製品もあります。
採用製品 |
東洋リビング 全機種 |
トーリハン ドライキャビ(プレミアム、NT) ※シート張り |
ハクバ E-ドライボックス ※スポンジ付属 |
▼防湿庫内の照明
防湿庫は密閉構造のため窓がなく、奥が暗くなる傾向にあります。高級路線の製品の中には、LED照明を備えた製品があります。
採用製品 |
東洋リビング オートクリーンドライ(スリム・ブラック&ホワイト・スタンダード・ワイド) |
トーリハン ドライキャビ(プレミアム) |
▼コンセントの有無
防湿庫の内部または裏面に100V用コンセントを備えた製品があります。内側のコンセントはバッテリー充電や照明の設置、本体裏面のコンセントはバッテリー充電などに活用できます。
採用製品 |
東洋リビング オートクリーンドライ(スタンダード・ワイド) ※庫内のみ |
トーリハン ドライキャビ(プレミアム) ※庫内&庫外 |
▼防カビ機能
高級路線の製品の中には、光触媒による防カビ機能を備えた製品があります。光触媒が付いてなくても、使い捨ての防カビ材が販売されているので問題ありません。
採用製品 |
東洋リビング オートクリーンドライ ※光触媒 |
トーリハン ドライキャビ(プレミアム) ※光触媒 |
最適な製品は?
防湿庫選びで重要な6項目を挙げました。1項目ずつ機能や要素を絞り込んでいけば、自分に最適な製品が見つかるはずです。カラーボックス(奥行き29.8cm)と並べて設置したいなら、トーリハン・ドライキャビ「NTシリーズ」がオススメです。
私の防湿庫
私が使用している防湿庫は、ハクバ E-ドライボックス85Lワイドです。ロクヨンを収納するためワイドタイプの大型除湿庫を選択しました。除湿方法は、乾燥剤方式で湿度&温度計は電源不要のアナログタイプです。外見に派手さはありませんが、湿度設定ダイヤルを「中」に設定して、湿度35〜45%の範囲で安定しています。
乾燥剤を乾燥するときに電源が入りますが作動音は皆無。10年以上使用するつもりで購入したので、耐久性に優れる乾燥剤方式を選択、商品保証が5年間だったことも決め手になりました。
このモデルはアマゾン専売モデルです。セールでお安く購入できたので大満足です。レビュー記事はこちら。
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