飛行機撮影に最適なカメラとは?【初心者向け☆ひこ〜き写真の教室1】

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初心者向け

カメラを趣味にする人にとって撮影する被写体はさまざまですよね。数多くの被写体の中でも「ひこーき写真」というジャンルは、機能美や圧倒的なスピード感がある「男性ウケ」の良い被写体です。抽象的イメージというより、機材性能や撮影テクニックが重視されるジャンルになります。

残念ながら私は、飛行機の専門知識が乏しく飛行機撮影の専門家ではありません。しかし、ひこ〜き写真を撮影できる機材が手元にあるので「ひこーき写真を始めたい」という初心者向けに、私自身が試行錯誤の末学んだ撮影技術やノウハウをご紹介しようと思います。センスについては教わるものでないので各自で磨いてくださいね。

/////  この連載記事を読んでいただければ /////
●機材沼にハマらず無駄な出費を最小限に抑える
●最短期間で上手に撮影できる
この2つを目指して執筆しますので最後までよろしくお願いしますね!

それでは「ひこ〜き写真の教室」の始まりです!

1.航空機写真の撮影に適したオススメのカメラとは?

超望遠レンズ・高速AF・連写性能

ひこ〜き撮影は、基本的に空港周辺の滑走路から離れた場所から撮影します。送迎ターミナルだったり田んぼだったり・・・(笑)。ひこ〜き撮影は、基本的にカメラマンと被写体の距離が離れているので「超望遠レンズ」が必要不可欠になります。じゃあ「どのメーカーの製品で揃えれば良いの?」と疑問を抱きますよね。カメラやレンズはコストがかかります。そのためメーカーを変えることは経済的負担が大きく、気軽にできません。最初に購入したカメラメーカーと「末長くおつい気合いする覚悟」が必要なのです。

カメラメーカーを選別するための3か条は下記の通り。

1.超望遠レンズが製品化されていること
「超望遠レンズの品揃えが豊富」であること。超望遠レンズが無くては始まりません。

焦点距離の目安 旅客機→100〜600mm 戦闘機→500〜800mm

2.AF-C(動体予測)のスピードと精度が優れていること
「AFスピード」が優れていること。飛行機は高速で移動するためAF-CやAFサーボといわれる「動体予測AF」が優れていないと追従できません。シングルAFのスピードが早くても意味がないので、スペックを比較する場合は注意しましょう。

ハイエンドクラスのAF追従性能が理想的

2.連写スピードが高速であること
「連写スピード」が高速であること。最新型のミラーレス一眼は、秒間30コマ連写(ほぼ動画!)を実現した機種も発売されています。個人的な感想ですが、秒間8コマ以上の連写性能が欲しいですね。

秒間7コマ以上の連写性能が欲しい

互換レンズメーカーの有無もコスト面で重要

<互換レンズが発売されているとコストを抑える選択肢が広がる>
カメラメーカーの「純正レンズ」はとても高額です。コストを抑えたいとき、互換レンズメーカーがレンズを販売していれば選択肢が広がります。互換レンズメーカーの製品は、純正レンズより性能が優れる製品もあるので侮れません。

カメラメーカー選び

<企業業績が良く動体撮影に強いメーカーを選びたい>
カメラ人口は年々縮小傾向にあり、この状況が続けばカメラメーカー存続の危機が訪れるかもしれません。この時期、体力の弱いメーカーの機材を新規で揃えてしまうと、売却時の資産価値が暴落する可能性があるので、体力のあるメーカーからチョイスするのが鉄則です。

また、AF測距システムに位相差AFを搭載していることが必須条件。パナソニックのカメラは、コントラストAFのみで動作するシステムを採用しているため、ひこ〜き撮影に不向きです。潔く候補から外した方が賢明です。

これらの条件を満たすカメラメーカーは「キヤノン、ソニー、ニコン」の3社。いわゆる現代のカメラメーカー御三家は、憧れの大砲レンズも揃っている(ニコンZマウントも600mmF4を発売予定)なので、テクニックが向上した時、プロが愛用する究極システムが揃えられます!

ただし、一眼レフ機は縮小傾向です。ソニーのAマウントは廃止される可能性があるので手を出さない方が無難です。新規で揃えるならミラーレス機がおすすめ。一眼レフは「短期練習用」として捉え、中古品で揃えるなど過剰投資しないことが重要です。

キヤノン ソニー ニコン
一眼レフ EFマウント(縮小傾向) Aマウント(廃止) Fマウント(縮小傾向)
ミラーレス一眼 RFマウント Eマウント Zマウント
フルサイズとAPS-Cサイズ

<高画質のフルサイズ、望遠効果が得られるAPS-Cサイズ>
カメラの撮像素子サイズは「35mmフルサイズ」と「APS-Cサイズ」の2種類があります。メインストリームは「35mmフルサイズ」になります。もう一つの規格「APS-Cサイズ」は、撮影素子サイズを半分の大きさに控え、コストを抑えたモデルになります。

「35mmフルサイズ」のメリットは、高画質であること。解像度と高感度特性のバランスが良く、高品質に撮影できます。対する「APS-Cサイズ」は、撮像素子サイズが小さくなるため高感度特性が劣る傾向にありますが、ソフトウェアの処理能力が向上し、昔ほど気にならなくなりました。メリットは、フルサイズ用レンズを装着した場合、撮影倍率が1.5〜1.6倍大きく撮影できる点が挙げられます。フルフレーム用の400mmレンズは、APS-Cサイズのカメラに装着すると600mm相当になります。ひこ〜き撮影は望遠レンズを多用するため断然有利なのです。

焦点距離 フルサイズセンサー機装着時 APS-Cセンサー機装着時
100〜400mmレンズ 100〜400mm 150〜600mm
200〜600mmレンズ 200〜600mm 300〜900mm

<一眼レフのフルサイズ機は、AF測距エリアが狭い傾向>
一眼レフのフルサイズ機は、構造的理由で測距エリアが中央に集中する傾向にあります。一方、APS-Cサイズはほぼ全てのエリアで測距できるため、フレーム自由度が飛躍的に高くなります。

ミラーレス機は、撮影素子に位相差センサーを搭載(内臓)しているため、フルサイズ機&APS-Cサイズ機を問わず、ほぼ全面で測距できます。

<ミラーレス機の多くはフルサイズ&APS-Cクロップの切り替えできる>
ミラーレス機は、カメラ本体の設定を変更するだけで、フルスケール撮影とAPS-Cクロップ撮影に対応できます。電子ビューファインダーを採用しているので、クロップ撮影時でもファインダー倍率が低下せず、快適に撮影できる特徴があります。

互換レンズメーカーの対応状況

<超望遠ズームレンズを扱うシグマ&タムロンがオススメ>
互換レンズメーカーはシグマ、タムロン、トキナーが国内3大メーカーです。望遠レンズの品揃えやマウント対応を考慮すると「シグマまたはタムロン」の2択になります。

キヤノン ソニー ニコン
シグマ EFマウント用:◯ Eマウント用:◯ Fマウント用:◯
RFマウント用:×
※アダプター経由で装着可
Zマウント用:×
※アダプター経由で装着可
タムロン EFマウント用:◯ Eマウント用:◯ Fマウント用:◯
RFマウント用:×
※アダプター経由で装着可
Zマウント用:×
※アダプター経由で装着可
沼にハマらない推奨カメラセット

◼︎キヤノン 一眼レフ機[APS-C]編
キヤノンの一眼レフ機は、ミラーレス機への移行に伴い縮小されることが予想されます。一眼レフ機で「APS-C機&互換レンズ」の組み合わせで購入するなら下記の組み合わせを推します。中古購入でコストを抑えて導入できます。

APS-Cサイズ機 EOS 90D+シグマ150-600mm F5-6.3 DG OS HSM Contemporary
カメラ EOS 90D
※中古購入を推奨
3440万画素
最高約10コマの高速連写
オールクロス45点AF
レンズ
(ファイター重視)
シグマ
150-600mm F5-6.3 DG OS HSM Contemporary
フルフレーム換算:240mm〜960mm
レンズ
(旅客機重視)
EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM フルフレーム換算:160mm〜640mm

◼︎キヤノン ミラーレス機[フルサイズ]
ミラーレス機の中からチョイスするなら、組み合わすレンズは「RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM」の一択になります。望遠端が500mmということでフルサイズとの組み合わせでは短いため、高画素機(4500万画素)のEOS R5を組み合わせてトリミング耐性を高めます。APS-Cクロップモード撮影時は、240mm〜800mm相当の画角を1730万画素で撮影できます。

マイナス点は、原稿執筆時点(2021年5月)互換レンズが販売されていません。発売間もない純正レンズを揃えることになるので中古流通も皆無に等しく、高額な導入コストがかかります。

フルサイズ機 EOS R5+RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM
カメラ EOS R5 4500万画素
最高約12コマの高速連写
AF測距エリア100%
レンズ RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM フルフレーム:150mm〜500mm
1.6倍クロップ:240mm〜800mm(1730万画素)

◼︎ソニー ミラーレス機[フルサイズ]編
ソニーミラーレス機は、モデルチェンジごとに目覚ましく性能が向上しているので、α7III以降のモデルからチョイスしたいところ。おすすめのモデルは、α7IV。組み合わすレンズは、タムロン150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD (Model A057)です。このレンズは、超望遠ズームレンズでありながら単焦点並みの解像力を備えています。

マイナス点は、テレコンが装着できません。テレコンを装着したい場合は「FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS」をチョイスします。タムロンよりも高速AFが望めますが、解像度はタムロンより劣ると思います。

カメラは「α9じゃないの」という声が聞こえてきそうですね。私はα9とSEL600F40GMの組み合わせで撮影していますが、解像度とノイズに不満が・・・。

フルサイズ機 α7IV+タムロン150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD (Model A057)
カメラ α7IV 3300万画素
最高約10コマの高速連写
位相差759点、コントラスト425点測距
レンズ
(ファイター重視)
タムロン150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD (Model A057) フルフレーム:150mm〜500mm
1.5倍クロップ:225mm〜750mm(1400万画素)
FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS フルフレーム:200mm〜600mm
1.5倍クロップ:300mm〜900mm(1400万画素)
レンズ
(旅客機重視)
FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS フルフレーム:100mm〜400mm
1.5倍クロップ:150mm〜600mm(1400万画素)

◼︎ニコン 一眼レフ機[APS-C]編
ニコンは、ミラーレス機の性能向上が急務の状況だけに、現行モデルのミラーレス機を購入するのは避けたいところ。性能が熟した一眼レフ機が対象になりますが「APS-C機&互換レンズ」を導入するなら下記の組み合わせを推します。D500は、中古在庫が豊富なので、新品購入は避けたいところ。

APS-Cサイズ機 D500+シグマ150-600mm F5-6.3 DG OS HSM Contemporary
カメラ D500
※中古購入を推奨
2088万画素
最高約10コマの高速連写
D5同等のAF性能
レンズ
(ファイター重視)
シグマ
150-600mm F5-6.3 DG OS HSM Contemporary
フルフレーム換算:225mm〜900mm
AF-S NIKKOR 500mm f/5.6E PF ED VR
※中古購入を推奨
フルフレーム換算:750mm
レンズ
(旅客機重視)
シグマ
100-400mm F5-6.3 DG OS HSM
フルフレーム換算:150mm〜600mm

◼︎ニコン 一眼レフ機[フルサイズ]編
フルサイズ機の一眼レフからチョイスするなら高画素&ローパスレス仕様のD850が狙い目。レンズは予算オーバーになるかもしれませんが「AF-S NIKKOR 500mm f/5.6E PF ED VR」を推します。このレンズは、大砲レンズ「500mm F4や600mmF4」と遜色ない解像力を持ち備えています。カメラ&レンズを全て中古で揃えれば、カリッカリの解像度で戦闘機を撮影できます。

マイナス点は、ニコンは今後Zマウント機に移行すると思われますので未来は・・・。今後、D系統の新型カメラは発売されないかもしれません。

フルサイズ機 D850+AF-S NIKKOR 500mm f/5.6E PF ED VR
カメラ D850
※中古購入を推奨
4575万画素
最高約7コマの高速連写
1.2、DXクロップ対応
ローパスフィルターレス
レンズ
(ファイター重視)
AF-S NIKKOR 500mm f/5.6E PF ED VR
※中古購入を推奨
フルフレーム:500mm
1.2倍クロップ:600mm(3153万画素)
1.5倍クロップ:750mm(1946万画素)
レンズ
(旅客機重視)
シグマ
100-400mm F5-6.3 DG OS HSM
フルフレーム:100mm〜400mm
1.2倍クロップ:120mm〜480mm(3153万画素)
1.5倍クロップ:150mm〜600mm(1946万画素)
ニコンのミラーレス機は、発展途上の段階です。一眼レフ機として熟成したD850とミラーレス機のZ7IIを比較すると、動体撮影において無視できない追従性と精度の差があります。ニコンのミラーレス機を購入するのは時期早々。メーカー開発陣の方には申し訳ありませんが「熟成してから購入する」というのが無難です。
画質に納得できなければ「大砲」を買う!

飛行機撮影に特化したカメラ&レンズを紹介しました。この画質に納得できなければ「高解像フルサイズ機+600mmF4」を購入しましょう。200万円コースです!

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この記事を書いた人
ちゃんまさ

雑誌編集部勤務を経て、個人制作会社を設立。30年以上にわたり雑誌取材、企業の企画執筆・写真撮影・TV番組の撮影などに従事。業務で得た経験や知見をもとに、カメラ・写真レタッチ・動画編集・商品レビューなどの情報を発信します。

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