SEL600F40GM レビュー・作例・使い方をブログ紹介!

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レンズ

ソニーEマウントの威信をかけ、ミラーレスに適した最先端技術を惜しむことなく投入し、数年先の性能を見越して開発されたレンズがSEL600F40GM。Gマスターの称号に恥じない光学性能による分解能の高い描写、高速かつ正確なAFスピード、高級素材を用いることで達成した軽量化など、全スペックを高次元でまとめた最新鋭レンズです。購入後、3ヶ月使用した現在の使用感は「最高に素晴らしい!」のひとこと。忖度なしにレビュー記事を執筆しましたので、ご興味がある方の参考になれば幸いです。

SONY FE600mm F4 GM OSS G Master

このページに立ち寄ってくださった方は、基本スペック等はメーカーサイト等で確認済みだと思いますので割愛します。

SEL600F40GMは受注生産のレンズなので、欲しくても手に入らないケースがほとんど。販売店(カメラのさくらや荻窪さんなど)の中には、お店が先行オーダーして在庫しているところもありましたので、血眼になってネット検索と在庫が見つかかも知れませんよ。

最初の知りたいことは「納期」ではないでしょうか? 私の場合、購入から納品までの流れは以下の通り。納期は発注状況により変動すると思われますので気休め程度にご覧ください。

注文から納品までの流れ

2020年12月、ソニーストアに納期確認すると3ヶ月と回答。年末に購入の是非をじっくり考え、決死の覚悟で1月中旬に発注しました。

結論を先に申し上げると、納期はおおよそ1ヶ月でした。同時期にSEL400F28GMを購入された方も1ヶ月で納品されていましたね。
手元に届いたSEL600F40GMの製造番号は「3600番台」。連番で製造されているのなら、相当数売れているようです。

2020年12月 納期確認:納期3ヶ月と回答
2021年1月17日 ソニーストアに発注
ステータス:入荷次第出荷
2021年2月17日 ステータス:
変更後の出荷日の目安:2021年2月19日
2021年2月19日 ステータス:出荷済
2021年2月20日 佐川急便にて午前到着

購入金額

SEL600F40GMの販売価格は、Eマウントレンズ最高性能を持ち合わしているがゆえ値段は高め。割引率が1%かわれば見返り額が大きくなるので、決して妥協できません。

購入先は、お付き合いのあるソニーストア購入。恥じらいもなく割引等をフル活用し、価格.com最安値より安価で入手できました。ソニーバンクウォレット還元などを含む最終金額は算出していませんが、140万円中盤で購入できたのではないでしょうか? そのあたりのノウハウは下記ページで紹介していますので、興味があればご参照ください。

 

セット内容

レンズは2重の段ボールに梱包された状態で配送。箱の上に置いたレンズはSEL200600G。第一印象は、とにかくデカイ!

レンズ元箱は、段ボールにロゴや型番だけが印刷された質素な造り。開封すると専用ケースにレンズが収められています。キヤノンやニコンの超望遠レンズ専用ケースは布製(リュックタイプ)を採用する傾向ですが、ソニーは旅行用スーツケース(さすがにコロコロはついていないけど)を彷彿とする堅実な作りです。素材こそ樹脂製ですが、成人男性が踏みつけても変形しない強度を備えています。ケース右端に、テレコン(SEL14TCとSEL20TC)を収納できる空きスペースがあります。

しかし「重くてゴツイ」が正直な感想。残念ながらこのケースは、購入当初から1度も使用せず、お蔵入りの状態です。

デザイン&機能

本体デザインは、写真で見た通りです。洗練されたソニーデザインが細部に宿り、所有する優越感で満たしてくれるフォルムです。お世辞抜きでかっこいいですよね!

キヤノンやニコンのロクヨンは、ラッパ形状のデザインを採用。レンズ先端部の滑り止めのゴムグリップが備わっていますが、これは機能性を重視した結果と思われます。SEL600F40GMを手持ちすると、重量バランス的にゴム部分(フォーカスホールドボタン)より前方になり、塗装面を素手でホールドすることになります。夏季の使用においては、汗や手脂などが悪さをして、C&N製品よりも滑り易くなるかもしれません。このあたりは、カメラマンの要求(使いやすさ)よりもデザイナーの地位(発言力)が高い同社社風なのかもしれませんね。

搭載される機能は、SEL200600GやSEL100400GMとの違いとして「ファンクションリング操作によるプリセットフォーカス」と「ビープ音」の採用が挙げられます。三脚座は、剛性感のある堅実な作りになっており、90度単位にクリックストップの有無を設定できるよう設計されています。

特筆すべきは「ファンクションリング操作によるプリセットフォーカス」。とても実践的な機能であり、撮影現場で絶大な効果を発揮します。「ビープ音」については、周囲で動画撮影されている方がいるかもしれませんので、トラブルを未然に防ぐ目的で常時OFF運用。三脚座は「クリックあり」で運用中です。

フィルターは、レンズ後方の差し込み式です。サイズは40.5mmとやや小ぶり。流し撮り用にKenko PRO ND8を購入しました。フィルターホルダーはとてもタイトな設計なので、フィルター枠が4.5mmより厚いと入らない恐れがあるのでご注意ください。

カメラ

AFの速度や正確さはカメラの発売時期(処理能力)によって様々です。手持ちによる動きものを撮影する場合、SEL600F40GM本来の性能を発揮するには、個人的な推測ですが、α7III以降のカメラが必須だと感じます。

フルフレームサイズならα9やα7RIV以降、APS-C機の場合はα6600以降を選びたいですね。α1でも撮影しましたが、ミラーレス機として最速レベルのAF性能を体感できましたが、如何せん超望遠レンズということでピントの繰り出し量が多く、広角レンズのように一瞬で合致することはありません。過度な期待は禁物です。正反対にレンズを三脚に設置するような風景写真ならカメラの機種は問わないでしょう。

忖度なしの自腹レビュー&独自運用法

体力(腕力)は必須

レンズの本体重量は、フルマグネシウム合金製の鏡筒を採用することにより3040gを実現。決して軽いとは言い難い数値ですが、過去所有していたニコンAF-S 400mm F2.8は5000g前後の重量だったので超望遠レンズとしては雲泥の軽さです。ニコンAF-S 300mmF2.8と大差ない重量なので、使い勝手は抜群です。

ただし、軽いといっても慣れるまではカラダに堪えます。初めての撮影で1日手持ちしたら数日間は筋肉痛になるはず(笑)。今は腕立て伏せ50回を1日数セットできる状態まで身体強化中ですが、2日目の午後は疲労により筋肉がプルプルします。

最初の試練は被写体をフレーム内に収めること

私は航空機(戦闘機)をメインで撮影していますが、導入当初は、被写体を目視した状態からフレーム内に収めることに苦労しました。飛行機がファインダー内に1発で収まらず、探すような無駄な動作がありました。

ズームレンズの場合、ワイド側で被写体を捉えてからテレ側に引き寄せることで対処できますが、超望遠単焦点レンズは、この方法が通用しません。テレコンを装着するとさらに難易度が高くなります。この点については、熟練を積む以外、対処法はありません。

解像力が甘い!?

レンズ購入後、比較的早い時期に「描写の甘さ」を感じるかもしれません。この解像度低下の最大要因は大気のゆらぎ(陽炎)です。大気のゆらぎは15mぐらいの比較的近距離でも発生し、致命的な悪影響を及ぼします。テスト撮影で電柱などを撮影し、ピントが甘く感じたら原因は大気のゆらぎを疑うべきです。メーカーサポートに怒鳴りこまないようにしましょう!!

大気のゆらぎは、地表に近い被写体が受けやすくなります。ボケに違和感を感じるので気付くはずです。晴天無風の日、気温差の大きい日、立ち位置から被写体のまでの間にコンクリートがある場合などが、陽炎の影響を受けやすくなる条件になります。ボケの形にエッジや模様(上段写真参照)が付いていたら、確実に陽炎の影響を受けています。

操作感

操作は、説明書を見ることなく普通に使用できます。ピントリングの動きはとてもスムーズ。センサー感度や分解能はとても高く、マニュアル操作で違和感を感じることなく操作できます。AF-Cによる撮影中でも、ピントリングを回せばマニュアル操作(=フルタイムDMF設定時)できます。

ファンクションリング操作によるプリセットフォーカスは超便利

SEL200600GからSEL600F40GMに乗り換えた場合、ピントを見失ってからの復帰するまでの時間が長くなる傾向です。そのような時は「ファンクションリング操作によるプリセットフォーカス」の活用を推奨します。

航空機撮影時の運用方法は、被写体までの距離と近似した「300〜400m」にプリセットフォーカスを記憶します。すると、ファンクションリングをどちらかに捻ることで記録したピント位置(300〜400m)に強制移動できるようになります。万が一、ピントをロストした時、ファンクションリング操作を行うことで、無条件でピント位置が航空機付近に戻ります。この状態で再度AFボタンを押せば、AFが食いつき追従を再開できます。この機能がとても実践的で、AFがロストしても慌てなくなりました。撮れ高に直結するプロ向けの装備です。

ただし、航空機は撮影距離が予測できますが、野鳥撮影時は飛行ルートが神出鬼没のため、何メートルに設定すべきかテストする必要があるかもしれません。

プリセットフォーカスの設定方法
1.ファンクションスイッチをプリセットに合わせます。
2.記憶したいところにフォーカスを合わせます。
3.SETボタンを長押しします。

画質

画質は、蛍石3枚を使った豪華な光学性能のため、あらゆる収差を抑えたクリアで高コントラストな写真を撮影できます。文句の付けようがない品質です。

しかし、大気の揺らぎやPM2.5(黄砂)の影響を受けやすく、悪環境下ではSEL600F40GMの光学性能をもってもシャープな写真は望めません。条件が悪ければ、SEL200600Gの写りと大差ないこともザラ。

条件が整えばぶっちぎりの高画質がえられる反面、悪条件下ではSEL200600Gと大差ない、というのが正直な本音でもあります。

解像感については、2400画素機のα9系より、6100万画素機のα7RIVの方が、圧倒的に解像度が勝ります。被写体が航空機・野鳥・風景がメインなら、α1やα7RIVなどの高画素機と組み合わせた方がSEL600F40GMの解像力を余すことなく発揮できると思います。

バッテリーライフ

SEL200600Gと比べて消費電力がわずかに大きく感じます。SEL600F40GMとα9の組み合わせは、バッテリー1本で1日写真撮影できる印象です。

しかし、SEL600F40GMとα1の組み合わせは、消費電力が3割り増しの印象。1日撮影するためには予備バッテリーが必須です。

気になる点

周辺光量落ち
絞り開放で撮影したりテレコンを装着すると、周辺光量の落ち込みが比較的顕著にあらわれます。晴天の青空バックだと一目でわかるレベルです。

ボケ味
ボケの形が悪くなる場合があります。ボケに模様がついたり歪な形になる場合は陽炎の影響だとわかりました。大気の影響がない状態だと綺麗にボケてくれます。

AFモードの相性
現在研究中なので大きな声では言えませんが、AFモードの選択によりピント精度が大きく異なります。ファインダーにトラッキングが映し出されると「ピントが合っているような錯覚」を起こしますが、必ずしもピントが合っているわけではありません。このあたりは、自分の中で因果関係が判別できた状態で意見を述べようと思います。

SEL200600G

レンズ性能の目安である「MTF曲線」をSEL200600GとSEL600F40GMで比較すると、高周波(30本/mm)の解像力が格段に違います。価格差を考慮すれば当然の結果ですよね。しかし、上項でも触れましたが、望遠撮影は大気の影響を大きく受けます。SEL600F40GMは、条件が整えばぶっちぎりの高画質が得られる反面「SEL200600Gも検討している」というのが本音です。

重量バランスは、SEL200600Gは先端が重く、SEL600F40GMはレンズ群を重心よりに寄せることで中心が重い感じです。手持ちの印象は、SEL600F40GMの方が軽く感じます。不思議ですね。

テレコン装着

SEL600F40GMのメリットは、テレコンが常用的に使用できる点にあります。とくにSEL600F40GMとSEL14TCの相性が抜群に良く、若干コントラストは低下しますが、画質やAFスピードともに及第点に収まります。SEL600F40GM+SEL14TC装着時の画質は、SEL200600Gの単体性能を上回る可能性があります。

特筆すべくは、テレコン装着時でも開放からシャープな画像が得られること。絞らなくても高解像度の品質が得られるので「840mm F5.6レンズ」として運用できます。この点は、ソニーα最大の魅力だと思いますよ。SEL20TCについては、解像度&コントラストの低下は避けられず、SEL200600G単体の描写よりも甘くなるかもしれません。

予算に余裕がなるならSEL14TCは是非とも購入すべきでしょう!

画像比較 ※画像クリックで拡大

撮影した画像を等倍切り出し。無修正です。大気の状態の良い曇り空で撮影しました。

▲α9/SEL600F40GM

▲α9/SEL600F40GM+SEL14TC

▲α9/SEL600F40GM+SEL20TC

▲参考 α9/SEL200600G+SEL20TC

運搬用ケース

現在、レンズの運搬はLoweproのカメラリュック・レンズトレッカー600AW III(LP3729-PKK)で運用中です。センサーにホコリが付着するのを防止するため、レンズにカメラを装着した状態で収納しています。SEL20TCを装着した状態でも余裕で収納できます。

 

SEL400F28GMの存在

SEL600F40GMとSEL400F28GM+テレコン運用で悩む人も多いようです。戦闘機や野鳥を撮影するのならSEL600F40GMの購入をお勧めします。私は過去にニコン400mmF2.8を所有していましたが、400mmの焦点距離は、サーキット撮影も含めて短く、テレコンを常用していました。その結果「本来の解像力が得られない」という失態をした苦い思い出があります。

作例 ※画像クリックで拡大します

α1/SEL600F40GM+SEL14TC(840mmトリミングあり)/マニュアル露出(1/8秒・F5.6・±0EV)/ISO1600

α9/SEL600F40GM+SEL14TC(840mmトリミングあり)/マニュアル露出(1/2000秒・F7.1・±0EV)/ISO400

α9/SEL600F40GM+SEL20TC(1200mmトリミングあり)/マニュアル露出(1/800秒・F8.0・±0EV)/ISO6400

この記事を書いた人
ちゃんまさ

雑誌編集部勤務を経て、個人制作会社を設立。30年以上にわたり雑誌取材、企業の企画執筆・写真撮影・TV番組の撮影などに従事。業務で得た経験や知見をもとに、カメラ・写真レタッチ・動画編集・商品レビューなどの情報を発信します。

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